将棋の2大タイトルとして知られているのが名人と竜王で、いずれも七番勝負開催中や開催前後は大きな話題となります。
そして、以前は将棋では名人がどのタイトルよりも格が上で棋界の頂点と考えられてきました。
ところが、竜王戦が誕生してからは話がちょっと複雑になりどっちが格上なのか、よくわからないということも多くなっているように思います。
そこで今回は、将棋の名人と竜王はどっちが格上なのか、賞金の違いや同時に保持した棋士についても見ていきます。
将棋の名人と竜王はどっちが格上?
将棋には8つのタイトル戦があり序列といわれる格があります。
そして、タイトル戦の序列は契約金(賞金・対局料など)の額によって決められ、高い方から順に以下のようになっています。
竜王戦→名人戦→叡王戦→王位戦→王座戦→棋王戦→王将戦→棋聖戦(2024年時点)
このことから、お金という意味では竜王が名人より格上ということになります。
また、両タイトル戦の歴史を見ると1935年(昭和10年)から始まった名人戦はタイトル戦の中で一番長い歴史を誇るのに対して、竜王戦は1988年(昭和63年)から開始と大きな開きがあります。
※ただし、名人戦七番勝負は1937年(昭和12年)、竜王戦の前身の九段戦は1950年(昭和25年)から
このことから歴史と伝統という意味においては名人が竜王より格上ということになります。
その他では、保持しているタイトル数という意味では竜王と名人は、タイトル数が多い棋士、タイトル数が同じである場合は棋士番号が小さい棋士が格上となります。
まとめると将棋の名人と竜王はどっちが格上かは、
・賞金では竜王が名人より格上
・歴史と伝統では名人が竜王より格上
といえそうですが、個人的には保持しているタイトルが多いほうが格上とするのが最もスッキリするように思います。
将棋名人戦と竜王戦の賞金の違い
賞金では名人戦より竜王戦が高額なのはわかりましたが、賞金についてもう少し詳しく見ていきましょう。
まず竜王戦の賞金は公開されているのでわかりやすく、優勝賞金4,400万円(2024年時点)は棋界最高額です。
一方の名人戦はちょっと複雑で、推定で優勝賞金2,500万円の他、対局料が最大1,050万円(1局150万円×7局)、これに月に約100万円の名人手当が加わって約4,800万円です。
ただ、現在では増額されている可能性もあると思われます。
竜王戦も賞金の他、対局料が支給されている可能性もあります。
不透明な部分もありますが、いずれにしても竜王戦が上回っているのは間違いないところです。
将棋名人戦と竜王戦の優勝賞金などは、以下の通りです。
名人戦:推定約4,800万円(優勝賞金+対局料+手当)
竜王戦:4,400万円+α(優勝賞金・2024年第37期)
将棋の名人と竜王を同時に保持した棋士
将棋界では名人と竜王のタイトルが別格であることはわかりました。
では、この2大タイトルを同時に保持した棋士は「竜王・名人」の称号を名乗ることになりますが、「竜王・名人」はこれまで何人いるのでしょうか。
「竜王・名人」は、羽生善治九段、谷川浩司十七世名人、森内俊之九段、豊島将之九段、藤井聡太竜王・名人の5名のみです。
羽生善治九段と森内俊之九段は2回、谷川浩司十七世名人と豊島将之九段、藤井聡太竜王・名人は1回、「竜王・名人」となっており、最長は羽生善治九段の約2年間(1994年12月9日~1996年11月29日)です。ちなみに藤井聡太竜王・名人は2023年6月1日から「竜王・名人」を継続中です(2024年10月20日時点)。
その他、同時ではありませんが、名人と竜王のタイトルを両方獲得した棋士は佐藤康光九段と渡辺明名人の2名です。
将棋の名人と竜王を同時に保持した棋士(竜王・名人)は、以下の5名です。
羽生善治
谷川浩司
森内俊之
豊島将之
藤井聡太
※2024年10月10日時点
将棋の名人と竜王はどっちが格上?~まとめ
今回は、将棋の名人と竜王はどっちが格上なのか、賞金の違いや同時に保持した棋士についても見てきました。
将棋の名人と竜王はどっちが格上かは、賞金では竜王が名人より格上、歴史と伝統では名人が竜王より格上といえます。
具体的な賞金額は、名人が推定約4,800万円(優勝賞金+対局料+手当)、竜王が4,400万円+α(優勝賞金など・2024年第37期)が目安です。
また、名人と竜王の2大タイトルを同時に保持した「竜王・名人」は、羽生善治九段、谷川浩司十七世名人、森内俊之九段、豊島将之九段、藤井聡太竜王・名人の5名のみで、最長は羽生善治九段の約2年間(1994年12月9日~1996年11月29日)です(2024年10月20日時点)。
名人と竜王はどっちが格上なのかはともかく、同時に保持した棋士「竜王・名人」が最強なのはほぼ間違いなく、今後、どんな棋士が「竜王・名人」に君臨するのか興味が尽きません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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