将棋界は夏になると竜王戦の挑戦者決定三番勝負が始まり、秋からはいよいよ七番勝負が始まるというのが通例です。
この竜王戦は、賞金額や対局料のかなりの部分が公開されており、将棋のタイトル戦の中では最も高額な棋戦として知られています。当然のことながらプロ棋士も気合が入ります。
はたしてその賞金や対局料はどこのスポンサーから出ていて、金額はいくらなのでしょうか?
今回は、竜王戦の賞金と対局料はどこから出ているのか、スポンサーと金額などをまとめていきたいと思います。
竜王戦の賞金と対局料
竜王戦は将棋界の最高棋戦にして最高賞金額の棋戦です。
そのシステムは独特で、勝ち進めばだれにでも竜王になるチャンスがあるという夢のある棋戦となっており、よく考えられたシステムになっています。
これが”竜王ドリーム”ともいわれる由縁にもなっています。
名人戦はA級の10人の棋士にしか挑戦権のチャンスがありませんから、ある意味対照的なシステムともいえます。
名人戦が長期間に渡って強さを維持しなければならない棋戦であるのに対して、竜王戦はその年に最も強い棋士を決める棋戦という見方もできるでしょう。
歴史と伝統の名人戦、実力の竜王戦ともいえます。
この竜王戦ですが、賞金と対局料が違うので分けて考えなければいけません。
それぞれ個別に見ていきましょう。
竜王戦の賞金額
まず賞金額です。これは対局料とは別に勝ったり負けたりして決まるものです。
七番勝負での優勝金額は4,400万円、準優勝でも1,650万円の賞金額です。(2024年度)
8大タイトル戦の中には優勝賞金が数百万円という棋戦もありますからその約10倍ともなり、桁違いとなっています。
さらに1組から6組までのランキング戦でもそれぞれ優勝と準優勝の賞金が出ます。
竜王戦七番勝負とランキング戦の優勝と準優勝の賞金額は、以下の通りです。
竜王戦七番勝負とランキング戦の賞金額(優勝・準優勝)
- 七番勝負:優勝4,400万円・準優勝1,650万円
- 1組:優勝470万円・準優勝116万円
- 2組:優勝366万円・準優勝94万円
- 3組:優勝261万円・準優勝63万円
- 4組:優勝209万円・準優勝53万円
- 5組:優勝157万円・準優勝42万円
- 6組:優勝94万円・準優勝21万円
※第37期(2024年度)の賞金額です。
竜王戦の対局料
対局料は勝ち負けにかかわらず最初から決まっています。対局によって支給されるもので、当然のことながら勝ち進めば勝ち進むほど高くなっていきます。
こちらに第37期(2024年度)の本戦トーナメント表がありますが、数字が対局料になります。
ご覧の通り、かなり高額な対局料です。
また、ランキング戦の対局料は具体的な金額については非公開となっていますが、基本的に1組を基準として組が下がるごとに対局料は1つ上の組の75%となります。
さらに昇級者決定戦の対局料はランキング戦の80%、残留決定戦は30%で、他に女流棋士、奨励会三段、アマチュア棋士などは減額となっています。
竜王戦とは?
竜王戦は十段戦を前身とする将棋八大タイトル戦のひとつで、最高賞金額の棋戦です。そのため、将棋界では最高棋戦とされ、竜王位は名人位と並んで序列最高位となります。歴史も古く、前身の十段戦・九段戦を合わせると名人戦に次ぐ歴史を誇ります。
1組から6組までのランキング戦を勝ち抜いた棋士で挑戦者を決める本戦トーナメントを争い、挑戦者を決めるという独特のシステムになっています。アマチュアや女流棋士棋士も参加するいわばオープン競技で、毎年10月から七番勝負が始まります。
永世称号である永世竜王は、竜王位を連続5期、または通算7期獲得で権利が得られ、現在のところ羽生善治竜王と渡辺明棋王の2人のみとなっています。
ちなみに2008年の第21期竜王戦は、渡辺明竜王(当時)と羽生善治名人(当時)の対戦となり、どちらが勝っても永世竜王の資格を得るという七番勝負となりました。
結果は渡辺明竜王が3連敗後4連勝で防衛を決め、初代永世竜王となりました。両者3勝3敗で迎えた第7局は「100年に一度の大勝負」といわれ、大きな話題となりました。
竜王戦の賞金と対局料はどこから?スポンサーは?
では続いて、この高額な賞金と対局料はいったいどこから出ているのでしょうか?
竜王戦に限ったことではないのですが、将棋や囲碁は昔から新聞社がスポンサーになっていることが多いです。
よく新聞に将棋や囲碁の棋譜が掲載されているのをご覧になることがあると思いますが、新聞社は日本将棋連盟と棋戦の契約を交わすことによってその棋戦の棋譜を新聞に掲載するというシステムになっています。
竜王戦も同様で、前身の十段戦の時代から読売新聞社がスポンサーになっています。(その他、特別協賛・協賛数社あり)
つまり、竜王戦の賞金と対局料は読売新聞社から出ているのです。
読売新聞(その他、特別協賛・協賛数社あり)
竜王戦の優勝賞金と対局料~藤井聡太の場合
では、第34期(2021年)の藤井聡太さんを例にどれだけの賞金・対局料が支給されたのかを見ていきましょう。第34期(2021年)の竜王戦は藤井聡太さんが初めて七番勝負まで進出し竜王位を獲得した年です。
藤井聡太さんはこの年、2組ランキング戦で優勝すると決勝トーナメントも順調に勝ち上がり、挑戦権を獲得します。ここまでですでに賞金・対局料を合わせて、少なくとも1,097万円を獲得しています。
そして、七番勝負では4勝0敗とストレートで豊島将之竜王(当時)を下して竜王位を奪取し、優勝賞金4,400万円を獲得、合計5,497万円を獲得しています。
さらに未公開の2組ランキング戦での対局料(4局)を加算すると、第34期(2021年)の藤井聡太さんの竜王戦の賞金・対局料は5,800万円前後になると推察されます。
藤井聡太四冠の竜王戦の賞金・対局料(2022年度)
- 優勝賞金
4,400万円 - 決勝トーナメント対局料:計731万円
決勝三番勝負:460万円
準決勝:167万円
4回戦:104万円 - ランキング戦優勝賞金
2組優勝賞金:366万円 - ランキング戦対局料:?(未公開)
※情報は2022年当時のものです。
竜王戦の賞金はどこから?スポンサーと金額など~まとめ
今回は、竜王戦の賞金と対局料はどこから出ているのか、スポンサーと金額などをまとめてきました。
まとめると竜王戦の賞金や対局料は読売新聞社から出ていますが、最高棋戦にふさわしく大変高額なもので、それと同時にすべての参加者に竜王になるチャンスが与えられた夢のある棋戦といえます。
勝ち進めば勝ち進むほど賞金や対局料も上がるとともに、下のクラスからでものし上がれるシステムは参加者に大きなモチベーションを与えます。
毎年、挑戦者決定三番勝負が始まり、七番勝負まで白熱の勝負が繰り広げられることになります。
今後もどこまで賞金額と対局料が引き上げられていくのか、目が離せない竜王戦です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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