将棋には現在、8つのタイトルがありますが、藤井聡太さんがこの8つのタイトルすべてを同時に制覇して大きな話題となりました。
野球の三冠王にも近いようにも思える将棋の八冠ですが、藤井聡太さんを含めて八冠歴代達成者は過去に何人いるのでしょうか?
また、時代を翻ってタイトル数が少なかった頃も含めて、全冠を同時制覇した棋士が何人いるのかも気になります。
今回は、将棋の八冠歴代達成者は何人いるのか、また過去に全冠を同時制覇した棋士などについて見ていきます。
将棋の八冠歴代達成者は何人?
将棋の八冠歴代達成者は藤井聡太さんただ一人で、プロデビューから7年での前人未到の大記録達成になります。
将棋界の8つのタイトルをすべて同時に手にしたのですから、いかに大変な記録なのかがわかります。
将棋界の8つのタイトル(竜王・名人・叡王・王位・王座・棋王・王将・棋聖)の保持者
藤井聡太さんは2020年に史上最年少タイトル獲得記録の17歳11か月で棋聖を奪取すると、2023年10月11日に王座を奪取するまでタイトルを失うことなく八冠を同時制覇しました。
八冠同時制覇が史上最年少記録(21歳2か月)であるだけでなく、獲得したすべてのタイトルが史上最年少記録です。
藤井聡太の八冠同時制覇までの道程
2020年7月16日 棋聖奪取①
2020年8月20日 王位奪取②
2021年9月13日 叡王奪取③
2021年11月13日 竜王奪取④
2022年2月12日 王将奪取⑤
2023年3月19日 棋王奪取⑥
2023年6月1日 名人奪取⑦
2023年10月11日 王座奪取⑧⇒八冠同時制覇達成!
※丸数字は保持していたタイトル数
将棋で過去に全冠を同時制覇した棋士一覧
将棋のタイトル数が現在の8つになったのは、叡王戦がタイトル戦に昇格した2017年度(平成29年度)からです。
それまではタイトル数は名人戦のみの時代から始まって徐々に増えていき、1951年度(昭和26年度)から3つ、1960年度(昭和35年度)から4つ、1962年度(昭和37年度)から5つ、1975年度(昭和50年度)から6つ、1983年度(昭和58年度)から7つになっています。
ではタイトル戦の数は異なるものの、藤井聡太さん以外に過去に全冠を同時制覇した棋士はどれだけいるのでしょうか。
タイトル数が3つになってから70年以上が経ちますが、将棋で三冠以上の全冠同時制覇を達成しているのは升田幸三さん(実力制第四代名人・故人)、大山康晴さん(十五世名人・故人)、羽生善治さん、そして藤井聡太さんのわずか4人です。
将棋で過去に全冠を同時制覇した棋士一覧は、以下の通りです。
八冠:藤井聡太(2023年)
七冠:羽生善治(1996年)
五冠:大山康晴(1963・1964・1967・1970年)
四冠:大山康晴(1960年)
三冠:升田幸三(1957年)、大山康晴(1960年)
※六冠同時制覇はなし
タイトル数の変遷
2017年度(平成29年度)~タイトル数8
1983年度(昭和58年度)~タイトル数7
1975年度(昭和50年度)~タイトル数6
1962年度(昭和37年度)~タイトル数5
1960年度(昭和35年度)~タイトル数4
1951年度(昭和26年度)~タイトル数3
八冠同時制覇~藤井聡太
2023年10月11日 藤井聡太
藤井聡太さんが八冠を同時制覇したのは、羽生善治さんが七冠全冠を同時制覇してから実に27年後のことでした。2017年度(平成29年度)から叡王戦が加わってタイトル数は8つに増えています。
七冠同時制覇~羽生善治
1996年2月14日 羽生善治
タイトル数が増えるに従い、全冠同時制覇はしばらく達成されませんでしたが、1996年についに羽生善治さんが七冠全冠を同時制覇しました。
1983年度(昭和58年度)に王座戦が加わって、タイトル数は7つになっていました。
六冠同時制覇~達成者なし
達成者なし
八冠の他、七冠・五冠・四冠・三冠を同時制覇した棋士はいますが、六冠同時制覇のみ達成者がいません。
タイトル戦が6つだった1978年度に当時五冠を保持していた中原誠さんが第3期棋王戦で加藤一二三棋王に挑戦しましたが、0勝3敗で敗れ惜しくも達成はなりませんでした。
1975年度(昭和50年度)に棋王戦がタイトル戦に格上げとなり、タイトル数は6つになっていました。
五冠同時制覇~大山康晴
1963年2月2日 大山康晴
1964年2月12日 大山康晴
1967年1月10日 大山康晴
1970年7月17日 大山康晴
1963年に棋聖戦第1期が開催されると、当時四冠だった大山康晴さんが塚田正夫さんを3勝1敗で下し棋聖位も獲得し、史上初の五冠全冠を同時制覇しました。
1962年度(昭和37年度)に棋聖戦が創設され、タイトル数は5つになりました。三冠・四冠・五冠全冠を連続して達成し、大山全盛時代を迎えていました。
四冠同時制覇~大山康晴
1960年9月20日 大山康晴
1959年に三冠全冠を同時制覇した大山康晴さんが、翌1960年にタイトル戦に格上げされた王位も獲得し、史上初の四冠全冠を同時制覇しました。
1960年度(昭和35年度)王位戦が加わって、タイトル数は4つに増えていました。
三冠同時制覇~升田幸三、大山康晴
1957年7月11日 升田幸三
1959年6月12日 大山康晴
1957年に升田幸三さんが初めて三冠全冠を同時制覇しました。その後、大山康晴さんが三冠・四冠・五冠全冠を達成し大山時代を築きます。
1951年度(昭和26年度)に王将戦が加わって、タイトル数はそれまでの名人戦・九段戦と合わせて3つになりました。
※九段・十段は竜王の前身
将棋の八冠歴代達成者と過去に全冠を同時制覇した棋士~まとめ
今回は、将棋の八冠歴代達成者は何人いるのか、また過去に全冠を同時制覇した棋士などについて見てきました。
将棋の八冠歴代達成者は藤井聡太さんただ一人です。
また、タイトル数は時代により異なりますが、過去に全冠を同時制覇した棋士は以下の4人です。
八冠:藤井聡太(2023年)
七冠:羽生善治(1996年)
五冠:大山康晴(1963・1964・1967・1970年)
四冠:大山康晴(1960年)
三冠:升田幸三(1957年)、大山康晴(1960年)
※六冠同時制覇はなし
タイトル数が3つになってから70年以上が経ちますが、全冠同時制覇はペースとしては10年に1人どころか、20年に1人といったところで、しかもタイトル数の増加に伴って難しくなってきています。
次の全冠同時制覇を見られるのがいつになるかは、まったく予想ができない時代になったといえます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※記録などは2024年11月19日時点のものです。
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