将棋のタイトル戦が全国のホテル・旅館で行われることは、古くからの慣例になっています。時には海外のホテルなどで行われることもあります。
また、普段は東西の将棋会館や名古屋の対局場で指されることが多いですが、タイトル戦になると1局1局が違う会場で指されます。
会場は高級ホテルや高級旅館が多く、かなり格式の高そうな会場ばかりで雰囲気も緊張感たっぷりです。
このタイトル戦の会場の決め方はどのようにしてなっているのでしょうか?
また、宿泊費や食事代、移動にかかる交通費など費用はだれが支払うのか、なぜ1局ごとに会場を変えるのかも気になります。
今回は、将棋のタイトル戦の会場の決め方や費用はだれが支払うのか、さらになぜ会場を変えるのか、などを見ていきます。
将棋のタイトル戦の会場の決め方
将棋のタイトル戦の会場の決め方は、以前は主催者(スポンサー)や日本将棋連盟がタイトル戦の会場(対局場)としてふさわしいホテルや旅館を探して調べて決めていました。
しかし、2009年から公募制が始まったことで全国各地のホテルや旅館、あるいは市町村が会場として立候補するようになりました。
将棋のタイトル戦を誘致することで、町おこしというか地元の活性化につなげようということです。ホテルや旅館の場合は大きなPRとなり宣伝効果が見込めます。
そして主催者の日本将棋連盟が会場(対局場)としてふさわしいかどうか、公平に優先順位を付けて会場(対局場)を決めていきます。
しかし、七番勝負の4局目までと五番勝負の3局目までは必ず開催されますが、もし勝負が早く決着した場合は七番勝負の5局目以降、五番勝負の4局目以降は開催されません。
タイトル戦に不慣れな会場(対局場)だと、直前までキャンセルするかどうかわからない状態では負担が大きく受け入れ側にとって大きなリスクとなります。
その場合は開催不確定の番勝負後半の会場(対局場)はタイトル戦開催経験の多い常連のホテルや旅館、あるいは東西の将棋連盟会館が担当することが多いようです。
タイトル戦によって違いはあるものの、現在ではタイトル戦の会場(対局場)の半分前後が公募制で選ばれ、その他の会場(対局場)はほぼ固定となっています。
以前は主催者(スポンサー)や日本将棋連盟が直接、調査して決定
2009年からは公募制も加わる
将棋のタイトル戦の会場の費用はだれが支払う?
将棋のタイトル戦の会場の決め方はわかりました。では、会場などでかかる費用はだれが負担するのでしょうか。
タイトル戦では宿泊費や食事代、移動に関わる交通費などさまざまな費用がかかります。
わかりやすい例として、竜王戦七番勝負の開催地募集要項を見ると、公募の場合は会場側(ホテル・旅館)がかなりの費用を負担していることがわかります。
参考 ⇒ 竜王戦七番勝負の開催地募集要項(pdf)
募集要項ではかなり細かいところまで要望がありますが、他のタイトル戦も大同小異かと思われます。
しかし、公募でない場合はどうでしょうか。知恵袋でのタイトル戦の会場となった旅館の方の回答によると、通常とは異なる変わった宿泊体系だったようですが施設利用料+宿泊料が普通に支払われたとのことです。
このことから公募でない場合は、割合はわかりませんが主催者(スポンサー)との折半になっているものと推測されます。
この他、自治体が誘致している場合もあり、費用負担の内訳はケースバイケースで決まるといっていいでしょう。地元の企業が援助する場合もあります。
公募の場合:会場側(ホテル・旅館)が中心
公募以外:主催者(スポンサー)と会場側(ホテル・旅館)との折半
※その他、自治体や地元の企業が援助する場合もあり
将棋のタイトル戦の会場はなぜ変える?
将棋の対局はテレビ棋戦などを除いて通常は東京と大阪の将棋会館、あるいは名古屋の対局場で行われることがほとんどです。
しかし、タイトル戦の会場となると全国のホテル・旅館で対局を行い、最大7か所を巡ることになります。費用も会場設定などの手前もかかるのに、なぜこのように会場を変えるのでしょうか。
その理由は将棋の「広報・普及」のためです。野球など他の競技と比較して、将棋は実際に指している棋士を直接見られる機会はほとんどありません。
ネット中継が普及して画面越しに見る機会は以前より増えましたが、直接現地で見られるのはタイトル戦とJT杯将棋日本シリーズ、朝日杯将棋オープン戦ぐらいです。
タイトル戦ではプロ棋士と聞き手(主に女流棋士)による大盤解説が行われ、運が良ければ対局終了後に対局者が大盤解説の会場に現れてコメントする姿を見ることができます。
他の競技より集まるファンの人数は多くないかもしれませんが、タイトル戦が行われている会場の雰囲気を肌で感じることができる貴重な時間といっていいでしょう。
将棋の「広報・普及」を考えると、タイトル戦の会場を変えて全国を巡るのは非常に有意義なものといえます。
将棋の「広報・普及」のため
こちらの記事もあわせてどうぞ↓↓
将棋のタイトル戦の会場の決め方~まとめ
今回は、将棋のタイトル戦の会場の決め方や費用はだれが支払うのか、さらになぜ会場を変えるのか、などを見てきました。
将棋のタイトル戦の会場の決め方は、以前は主催者(スポンサー)や日本将棋連盟が直接、調査して決定していましたが、2009年からは公募制も加わっています。
会場でかかるさまざまな費用は、公募の場合は会場側(ホテル・旅館)が中心、公募以外だと主催者(スポンサー)と会場側(ホテル・旅館)との折半、その他、自治体や地元の企業が援助する場合もあります。
タイトル戦で会場を変える理由は将棋の「広報・普及」が主な目的で、大盤解説も行われ、タイトル戦が行われている会場の雰囲気を肌で感じることができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント